TOEICが日本ではほぼ事実上の標準テストになりつつあります。これに関してもでたらめなことを言う方がいます。ここで私の見解を整理しておきたいと思います。
◎良い点
聞き取り、読み、の二つに関してバランスよく構成されていると思います。受動的な英語力を測るためによくできたテストです。また、専門的な話題は一切排除し、英語ができる人なら職業や学問上の専門分野にかかわらず誰でも点数が取れるようになっています。
◎どちらとも付かない点
初級から中級の学習者の英語力を測ることに特化しています。 上級者の入り口あたりでTOEIC900点になり、これ以上の点数はあまり意味を持たなくなります。
◎問題点
当然のことながら会話、作文といった能動的英語力は一切測れません。 また実は日本と韓国以外ではほとんど知られていません。
別にETS(TOEICを作っている米国の会社)の回し者ではありませんが、TOEICに関する世間でのいわれようがあまりにひどいのでここで反論しておきたいと思います。 点数が取れないから批判したくなるのでしょう。
◎「TOEICで点数が取れても話せないと意味が無い」
TOEICで点数が取れている場合、読みと聞き取りができるわけで、意味が無いは言い過ぎです。たぶんメールのやり取りくらいはできるわけで仕事するには十分です。でも話せないと残念ですね。 書き換えるとすれば「TOEICで点数が取れない人が英語が話せるわけが無い」が正しいと思います。 異論があるのならTOEIC問題集の解答編の日本語を読めばよいでしょう。 あのレベルの日本語が理解できない人を私は日本語ができるとは定義しません。あれが読めない人が日本語が話せるわけがありません。 ただ、TOEICは英語運用能力の判定に関して無理があるのは事実です。どうしても会話能力が重要ならVersantのような別の試験と組み合わせて使うのが良いでしょう。
◎「TOEICはテクニックで乗り切れる」
もちろんどんな試験でも形式をあらかじめ頭に入れておくことで誰でも少しは点数がアップします。でもそれ以上はあがらないかと思います。 ETSでは統計学等の専門家がちゃんとまぐれ当たりで点数が取れないように設計していますから、統計のわからないあなたが心配しなくても大丈夫です。 TOEIC高得点者がまれにこれを言うという話を聞いたことがありますが、これはおそらく別の項で説明した「謙遜」でしょう。「勉強してTOEIC900とった」と言うと日本ではいろいろな方の利害、感情に差し障りますから。 あるいは会話力が低すぎて堂々と「英語を勉強した」とはいいづらいのかもしれません。
◎内容の程度が低すぎる
これは確かに言えることです。 TOEIC900点を超えた人用の上級者版があっても良いかと思いますが、主な市場が日本と韓国であることを考えるとビジネスとしておそらく成り立たないでしょう。 TOEFLのような大学入学資格試験を用いる手もありますが、どうでも良い学術用語が多いのでビジネスには不向きかもしれません。 問題の内容としては英検のほうが良くできています。読み書き、リスニング、スピーキングすべてが含まれている上にレベル分けされているのでより詳細に実力を測ることができます。 ただ一回受けるだけというTOEICの手軽さに負けてしまった格好でしょうか。もう一つ英検の問題としては準1級と1級の間がかなり広いので、この部分をもう少し詳細に測ろうとするとTOEICを用いるしかないという問題もあります。
よくよく考えるとなぜグローバルスタンダードの英語試験が無いのか、というのは結構面白い疑問です。 学歴なんて一度就職したらたいして何の役にも立たないのと似ているかもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿