まずは日本における敬語から
◎一人称、二人称、三人称の細かな使い分け
日本語は一人称だけでも「私」「僕」「俺」 「自分」など数多く存在します。二人称にも「あなた」「君」「お前」「○○さん」などあります。これを理由に日本語が難しいと言い張る方もいますが、いちいち面倒なのでここでは取り上げません。 ドイツ語には「こんにちは」が私が知っているだけで5種類くらいありますが、だからドイツ語が難しいとは思いません。 なぜ一人称を使い分ける必要があるのか。 簡単に言うと相手と自分の間の立ち位置を示すためです。 日本では対等な関係というものはあまり存在せず、常に上下関係が存在する仕組みになっていて、それをきちんと認識して適切な言葉を選ぶことが礼儀だということになっています。
◎敬語、謙譲語、丁寧語
日本語は文法的に敬意を示すことができるように発達しています。 私自身敬語と謙譲語の違いがあまりよくわからないですし、きちんと理解している方から見るととんでもない日本語を話しているのかもしれません。 でも率直に言って日本語の敬語とかってくだらないんですよね。 きちんと敬語で話していても話している中身が失礼な人は多く見かけます。 「慇懃無礼」ってのは日本人のためにあるような形容詞です。
◎欧米の敬語
確かに欧米にも見た目で敬語だとはっきりわかる物があります。
例えば法廷物の海外ドラマを見るとわかりますが、法廷内では裁判長に話しかける際に「your honour」と呼びかけます。 いろいろ調べたところ王族に対して話すときには「your majesty」というらしいです。 「you」と呼びかけるのは少々砕けた感じがするようです。 そういえば大学の先生が一人こんなことを授業の最初に言っていました。
「please call me Mike, but don't call me "hey you"」
もちろんある程度形で敬意を示すことができます。
http://www.bbc.co.uk/worldservice/learningenglish/grammar/learnit/learnitv239.shtml
よく文法書にもこのような説明のページがあります。このサイトに書いてある表現を勉強することは必須です。
「could you」だと「をすることが可能かどうか」で、さらに仮定法にすることでより回りくどい言い方になります。 「would you mind」みたいに、「私がもしこうしたら気に障るだろうか」「あなたにこうしてもらうことは不都合だろうか」という丁寧な言い方もあります。
さらに飛行機のトイレに入ると良くこんなことがかいてあります。
「as a courtesy to the next person, may we suggest that you wipe off the basin」
お客さんに対して洗面台を拭いてください、と言うのは恐れ多いために「may we suggest」で、「提案してもよろしいでしょうか」と、さらに回りくどい言い方になっています。 あまり口語でここまで丁寧な言い方は聞きませんが、例えばホテルの従業員がお客と話す場合などありうるのかもしれません。
◎命令文、断定的な口調を避ける
上記にあげたような敬語の形式を一通り学ぶことは重要です。 ただ、もう一つ重要なことは、相手が何をするか、という個人的な事柄に立ち入らない、それを評価しないということです。 ここで一つ考慮しなければならないのは相手とあなたとの関係です。 命令文を使うのが適切なのは例えば上司が部下に対して、教師が生徒に対して、親が子供に対して、といった場合が多いです。 部下の行動内容を決定し、責任を持つのは上司なのでここでストレートに行動内容を指定するのは良いのです。 同僚の間だと、仕事の内容を決定する人間ではないため、これは避けます。 ちなみに日本では自分はお客さんで神様だと思って横柄な態度をとる人がいますが、欧米ではお客さんは神様ではありません。 接客業の人たちに対しても丁寧な物言いをします。
また、人にアドバイスをするときに「こうしたほうがいい、ああしたほうがいい」と日本語でよく言いますが、これも英語では危険です。 客観的に「こうするとこうなる」「こうするとこういう問題が起きる可能性がある」「私だったらこうする」といった事実を積み上げる言い方が無難です。
たぶんわかりにくいと思うので以下に例を挙げます。
-旅行中に話していたアメリカ人
彼 「have you got enough cash to buy the ticket」
私 「no, but i think the ticket office accepts a credit card」
彼 「i wouldn't count on it」
日本語だと「駅でクレジットカードが使えるかどうかなんかあやしいから当てにしないほうがいい」ということですが彼は「私だったらあてにしない」という風に主語を入れ替えています。私が何をするかという部分にはあくまで立ち入らず、かつ適切なアドバイスをくれています。
-旅行中の会話、日本人とイギリス人の比較
今までの旅行でどこがお勧めか、という話ですが、彼らの話し方が非常に対照的だったので両方挙げます。
ある日本人の場合。彼は世界一周の途中で、中南米を見てきたそうです。
「メキシコなら○○見ておくといいですよ。 ああ、あと他にみといたほうがいいのは○○」
といった会話が15分くらい延々と続きました。きちんと敬語で話しているにもかかわらず何かむっとくるものがあるのがお分かりでしょうか? 見といたほうがいいかどうかは私が決めることなのにそこを彼が断定しているからです。彼は英語がまったく話せないそうですが、話せなくて正解のような気もしました。"you'd better"とかいうともう脅し文句です。
あるイギリス人の場合。イギリスのバーで飲んでいたときに話しました。バーテンダーとのことであまり柄のいい感じではなく、教養を感じさせるタイプではないのですが、以下のような話をされました。
「oh you are going to London next? I would recommend ○○、○○ and ○○. and if you are interested in the traditional people in London, the eastern part of London is interesting. yes this part in the map. well you don't have to go, but just in case you are interested. I think this part of London is interesting」
先ほどの日本人は「見といたほうがいい」ということを強調していましたが、こちらのイギリス人は「いや、別に興味が無きゃいいんだ」ということを強調しました。これがヨーロッパの敬語の本質のような気がします。
◎日本語の限界
日本語で何か応援する際にきまってでることば「がんばってください、がんばれ」ってありますが、何かの記事で読んだところ、この言葉が嫌いな日本人って結構多いらしいです。 「がんばってください」て何か人事っぽいですし、頑張るかどうかは本人が決めることであってそこにいちいち介入されるのはあまり愉快なことではありません。 日本人はむかつくとわかっていることをいちいち人に言いまくっている不思議な民族です。 そういえば大学生のとき明日は試験だというと韓国人は口をそろえて「study hard」といっていました。 「もう十分勉強したから寝るよ」とか「どうせ高校のときに勉強したような数学だからこれ以上勉強することは無い」というと不思議そうな顔をされました。たぶん韓国語の「がんばれ」を英語にしているのだと思います。
ヨーロッパ人だと「i wish you the best」「i am sure you will be fine」だとか言います。ただ、困るのはヨーロッパ人の言い方を日本語で言おうとしてもどうも長くておかしな日本語になってしまってうまくいかないということです。 日本語が美しいと信じている人が多い中で恐れ多いのですが、このヨーロッパ的敬意を表すことに不都合な点と、また、別のページに書いた教科書が非常にわかりにくい点を考慮すると、私は日本語は現代社会で使用するには欠陥が多すぎると思います。 多くの発展途上国のように高等教育くらいはは現地語を捨てて英語等のヨーロッパ言語にしてしまった方がメリットは大きいと思うのですが。。。。
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